ぼやき

女大学生がぼやいてます

修学旅行で「てんかん」に直面した話

それはほんの些細な叫び声から始まった。

私はバスルームの鏡と睨めっこしながら、コンタクトレンズの左目を入れ終え、右目を人差し指にセットした瞬間のことだ。


A「いッッた!!!」

とAが大声で叫ぶと同時に「ドン」と倒れるような音がした。

私はてっきり、机の脚に指ぶつけて、尻餅でもついたのだろうと思い、気の抜けた声で「大丈夫〜?」と言った。

が、反応がない。
ついでに同じ部屋にいたBの笑った感じもない。



なにかがおかしい



その場の空気が私に伝えた。
右目のコンタクトは入れてなかったけれど、急いでバスルームを出て右手側を見ると、そこにはベッドとベッドの間に収まってヒクヒクとしているAと、1番奥で荷物整理をしていたはずの青ざめたBがいた。


私は肝を冷やして、震える声でAに
「大丈夫?」
と聞いたが、Aの反応はなかった。

焦点の合わない目、倒れた瞬間の筋肉を固め、痙攣する体。

息ができないのだろうか?そう思った瞬間、私の脳を掠める言葉はただ一つ。


「死」


だった。
幸か不幸か、私たちは前日の夜に、同じ階にいた看護師の部屋にお邪魔になっていた。
私はその事を咄嗟に思い出し、着の身着のままに部屋の外へ飛び出し、看護師の部屋の扉を叩いた。

「はあい」中から気の抜けた看護師の声が聞こえた。他方、私はバクバクと音をたてる心臓を抑え、部屋の扉が開かれるのを待った。開かれると同時に私は現場の状況を伝え、看護師を部屋に誘導した。


(今から考えると、扉はオートロック。中にBがいなければAは1人でいたのかと思うと自分の行動の軽率さにゾワっとする。)

看護師は部屋に入り、手馴れた様子で中側の鍵を立てて、扉が閉まり、オートロックが掛からない状態にした。


再び部屋の中にいるAを見たら、Aは口から泡を吹いていた。白い泡の下から、赤い泡。血だ。口内から血が出ていることが容易にわかった。

看護師は「下の階にいる先生に伝えてきて」と冷静に言った。
私が慌てて行こうと、右の人差し指にあるコンタクトを右目に入れている間に、それまで部屋の隅で固まっていたBが外に飛び出して行った。


てっきりBが腰を抜かしていて、使い物にならないと思っていたのだが、人間、緊急事態になるとどうなるかわからない。
安心したような、自分のやることが無くなった無力感があるような、不思議な気持ちだった。

ふと、隣の部屋にいるCDにこのことを伝えなくてはならないことを思い出した。
CDには事情を説明して、焦らなくて良いことを伝えた。


部屋に戻ろうと廊下に出ると、そこには先程飛び出して行ったBと他の班員のEと教師のX・Yがいた。

4人を差し置いて、部屋に入り、自分の荷物をある程度綺麗にして、Aの様子を見ていると、Bが入ってきて、男性であるXが入っていいかと許可を取ってきた。私はもちろん承諾したため、Xは部屋に入り、Aの様子を見ていた。

その頃になるとAも痙攣は落ち着き、目を閉じ、言葉に反応するくらいにはなっていた。


このとき私はどんなに安心しただろうか。
死の危険を目の前にしたが、迅速な対応だったのだろう、大事には至らず、Aは救急車で近くの病院に運ばれていった。


Aが運ばれる前、Yから私たち(私とB)は褒められた。
「迅速な対応だった」「正しい対応だった」と。


1年経った今になって思う。

あのときは
・前日、看護師の部屋に行っていた
・看護師の部屋が同じ階にあった
・3人部屋だった
・倒れる瞬間を見た者と見ていない者がいた
という不幸中の幸いである事実が、そこにはあった。


修学旅行で、倒れない人がいないと決めつけることは危ないことだ。むしろ修学旅行だからこそ、個人個人に負担がかかる。
前日の睡眠時間が少ないことや、深夜のバカ騒ぎ。朝のイライラ。全てを止めろとは言わない。むしろそれこそが修学旅行の醍醐味だからだ。

ただ、私のこの経験から是非伝えたいことがある。

それは、「看護師の部屋を知る」ということだ。実際に行ってみてほしいところだが、そんなことはしなくても構わない。
今回の事件で、後になって考えてみても、前日の夜に看護師の部屋に行っていたことは大きなプラスポイントだ。



そして、「てんかん」とは、と考える機会が得られたことに、この修学旅行の大きな価値を見いだせる。

http://www.jea-net.jp/tenkan/tenkantoha.html

↑この記事によれば、100人に1人はいておかしくない存在だそうだ。

「まさか」があるのが日常生活だ。

次回、私がまた「てんかん」に出会っても、大きな衝撃を受けず、今回のように迅速な対応を持って命を救う覚悟はある。


いつでもかかってこい。


おわり

ひとりごと

 

誰かに話したいけど、何となく気が引けてしまって話せないことを記していこうかな、と。


友達を信じてないわけではないし、親も頼れる存在だけど、割と、誰にも言えないことってあると思います。


親の前では子供らしく、友達の前では友達の友達らしく振舞っていて、窮屈ではないけれど、1人になったときに、ふと、何となく疲れてしまって。世界の端っこの方で静かに眠っていたい衝動に駆られませんか??

私は割とすぐその衝動に駆られます。自分1人で生きていけたらどんなに楽なんだろうと思うのですが、自分は不器用でどうしようもない人間だと分かっているので、人を頼らずにはいられません。


悩んでる訳では無いけど、自分が自分じゃなくて、他の人だったらどんなに良かったことかと思ってしまうのです。



というだけの話。